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学生 / 学生団体 すぐ創る課 代表 山﨑 駆 さん

学生 / 学生団体 すぐ創る課 代表 山﨑 駆 さん

北九州市若松区の北九州学術研究都市。様々な教育機関や産業機関が教育・研究を進めています。この場所で研究を続ける山﨑さんは九州工業大学の大学院生。そんな 山﨑さんが代表を務める『すぐ創る課』は、内外から大きな注目を集めています。北九州市だからこそできる研究や叶えられるライフスタイルがあると話す山﨑さんに、研究者目線で感じるまちの強みを教えていただきました。

課題先進都市の強みをいかす。ここは、研究者にもぴったりのまち。

ー生まれも育ちも北九州市の山﨑さんですが、どんな幼少期を過ごしましたか?

私が生まれた若松区という場所は、歴史的な文化遺産が残るまちです。街並に風情があり、映画のロケ地にも使われるような場所。一方で、学術研究都市があり、最先端の教育や研究が行われている土地でもあります。そんなまちで小中学生の頃はサッカーに明け暮れていましたね。高校からは勉強とラグビーに打ち込み、福岡県飯塚市の九州工業大学(以下、九工大)飯塚キャンパスへ進学しました。

ーその後、『すぐ創る課』を立ち上げますが、その経緯を教えてください。

『すぐ創る課』は九工大の学生プロジェクトのひとつです。私たちが行うロボットの研究は、10年、100年単位で行われるものがほとんどです。私は、ロボットと人の共生、特にロボットの介護福祉分野での活用を研究しています。そのなかで、たくさんの高齢者、障害者の方に研究の被験者になっていただきます。100年後の成果も大切ですが、目の前で困っている人の力になりたくて『すぐ創る課』を立ち上げました。

ー文字通り『すぐ創る課』ですね。活動内容はどんなものですか?

メンバーは18名。全員、九工大の学生ですが、今後は他大学の学生も加入予定です。これまでに『すぐ創る課』で製作したものを例にあげると、車椅子ユーザーで呼吸器を装着しなければならない方がいました。移動の際、不便さを感じていたので、車椅子に呼吸器を取り付けられるパーツを一緒に製作し、その方の日常の不便をひとつクリアすることができました。3Dプリンターで製作するので、本当にすぐ創ることができるんです。
北九州は、ものづくりのまちでもあるので、こんなこともできるんだぞ!というのをどんどん発信していきたいと思っています。

ー東京や大阪ではなく、北九州市だからこそできる研究やその分野の可能性は感じますか?

北九州市は、高齢化が進んでいる都市です。全国に20ある政令指定都市の中で最も高い高齢化率だと言われています。私はそれを決してネガティブに捉えてはいません。世界の都市もやがて高齢化社会を迎えると言われています。そのときに、北九州で暮らしやすい社会や手助けができる研究を進めておけば、世界をリードすることになりますよね。課題を嘆いても仕方がないので、課題先進都市の立場でできることを見つけていきたいと思っています。

また、個人的なことを言うと、人が多いのが苦手なんです。だから、北九州の都市機能が整っているのに、混み合っていない雰囲気はとても暮らしやすいと感じます。少し足を伸ばせば、豊かな自然もあります。車で移動することも多く、それも自分のペースで生活できる嬉しいポイントのひとつです。研究職は過酷です。だからこそ、住む環境が大切だと思います。そういう意味では、このまちは研究に向いていると思います。

ー休日が取れたら、どんなふうに過ごしていますか?

昔から釣りが好きで、休みがあれば出かけています。今は、沖まで行って青ものを狙っています。釣った魚は、自分で捌いてお酒と一緒に頂いています。食べ物もお酒もおいしいのが北九州の特徴のひとつです。リフレッシュできるから、また研究に没頭できるんですよね。

ー最近の研究結果があれば教えてください。

2022年10月に実証実験が行われたトヨタ・モビリティ基金のアイデアコンテストで、私たちの提案が採択されました。会場の岡山国際サーキットを3Dモデル化し、メタバース空間をつくることで、車いすユーザーが会場を訪れる前に会場の段差や形状が把握できるというもの。会場で不便な思いをすることが多い車いすユーザーなどに役立つことを想定しています。採択に至った大学は、東京大学と九工大の2校で、高い評価を受けることができたので、嬉しかったですね。

ー今後の目標を教えてください。

個人的には、起業、就職、大学の研究職など様々な道があると思います。夢をあげるとするなら、私が育ったまちにある北九州学術研究都市を日本一の学術研究都市にすることです。北九州学術研究都市の中や近隣には、工業大学や企業の研究機関、女子大学など多種多様な機関があります。これからのイノベーションは、かけ合わせによって生まれると思っていますので、このポテンシャルは相当高いものがあるぞ、と感じているんです。きっと、日本一になれると信じています。その偉業に貢献することが目標ですね。

学生 / 学生団体 すぐ創る課 代表

山﨑 駆

北九州市生まれ。2022年現在、九州工業大学 生命体工学研究科生命体工学専攻博士後期課程1年。2021年には、学生プロジェクト『すぐ創る課』を立ち上げ、18名のメンバーをまとめるプロジェクトリーダーを務める。研究内容は、ロボットの福祉分野における人との共存。 趣味は釣り、お酒、音楽。