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書店員(有限会社 白石書店 統括マネージャー) 白石 隆貴 さん

書店員(有限会社 白石書店 統括マネージャー) 白石 隆貴 さん

北九州市で100年続く老舗書店である白石書店。全国的に書店の減少が進むなか、Uターンして事業継承に取り組み、6代目として新しい書店づくりにチャレンジする白石さんに、北九州市の魅力そして地域の未来について伺いました。

「知る」楽しさがあふれる、アミューズメントパークをつくる。

ー事業継承を決めたきっかけは?

大学1年生までプロ野球選手を目指していたのですが、度重なるケガで野球を辞める決断をしました。夢を叶えられなくなったあと、なんとなくアルバイトをしないといけないなと思っていて、家業が本屋であったこともあり、ふらっと立ち寄った本屋で“本に吸い寄せられる感覚”の面白さを感じ、その本屋でアルバイトをさせていただきました。偶然、アルバイト先の社長と白石書店社長である父が知り合いだったため、アルバイトの身にもかかわらず、多くの書店業界の方とお会いする機会をいただき、そのなかで業界の遅れに気づきました。この業界を変えることができれば「業界の革命家になれる!」と思うと同時に、本屋を「楽しいがあふれるアミューズメントパークのようにしたい!」という夢を抱いて、その実現のために事業継承を決めました。

ーどんな課題があるのでしょうか?

入社前から物流や注文の仕組みを変えなければならないと課題になっていました。だからこそ、出版社や取次店に頼り切っていた現状を断ち切り、書店自らの力で乗り切るしかありません。そこでまず書店のDX化に着手しました。その一環で開発したのが教科書の学校販売サービス『Raku-Buy』です。WEB上で注文から決済までできるため、教科書代の紛失や盗難の心配がなくなりました。また重たい教科書の持ち帰りが困難な生徒さんには宅配対応できるようにしています。また、コロナ禍では絵本のオンライン読み聞かせにも取り組みました。図書館の休館や幼稚園・保育園の登園自粛が続き、絵本に触れる機会をつくって子どもたちを元気づけるためです。出版社や著作者はもちろん、朗読を務めるフリーアナウンサーや学生ボランティアの方々にも賛同いただき、期間限定での公開が実現しました。評判もよかったので、今はオンラインでの小説朗読に取り組んでいます。

ーその他にはどんな取り組みを?

2022年12月に映画『レッドシューズ』が公開され、オール北九州ロケの映画だったので聖地巡礼ガイドブック『RED SHOES KITA-Qクロニクル』を発売しました。映画監督も出版社のあかつき舎の担当者も北九州市出身で、みんなの「北九州市の良さを全国のみなさんに知ってもらいたい」という気持ちがあったから出版できたと思っています。
映画には八幡西区折尾の堀川沿いにある昭和レトロな飲食店街が登場するのですが、当時すでに移転・閉店が決まっていて、さらにコロナ禍ということもあり、どこもお店を閉めていたそうです。それでも店主のみなさんは撮影のためにわざわざお店を開け、看板灯を点けてくださったと監督に伺い、北九州市の人々の地元愛の強さを実感しました。

ー最後に目指している書店のカタチとその取り組みについて教えてください。

地方書店の強みは地域に根ざした情報発信を続けてきたことによる圧倒的な信頼、そしてどんなジャンルの業種ともコラボできる間口の広さだと思います。この強みを活かして、本当に良い商品をお伝えすることもこれからの書店の役割だと考えています。
そのひとつが、壺焼き芋と米穀の販売です。地域に根ざした書店として築いてきたネットワークを活かして、地元の農家から直接仕入れた芋と米を地域のみなさまにお届けします。
また、本当に良いと思うものをスタッフ自身でセレクトしたり、生み出したりできれば、接客も楽しくなりますし、積極的に販売をしない書店業界の雰囲気も変わると思っています。そんな書店はお客様から見ても楽しそうに見えるはずです。これからもさまざまなチャレンジをとおして「楽しいがあふれるアミューズメントパークのような書店」を目指せたらと思っています。

書店員(有限会社 白石書店 統括マネージャー)

白石 隆貴

書店員(有限会社 白石書店 統括マネージャー)
白石 隆貴 さん
北九州市八幡西区出身。大学時代のアルバイトで書店の魅力と課題に気づき、Uターンして事業継承に取り組む。現在は統括マネージャーとして、社員教育やIT関連業務、新規事業開発を担当。