Relay Message
北九州市を舞台に自分らしく活躍する人たちの声を、リレー形式でお伝えします。その想いや描く未来予想図は人それぞれ。10人いれば10通りのアンサーがあります。その多様さは、北九州市だからこそ。彼らのリアルな声をキャッチしてください。
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九州工業大学大学院 柴田智広 教授
リレーメッセージ、第二弾は九州工業大学大学院 教授 柴田智広さんです。医療介護福祉用のAIやロボットなどの専門的な分野で最先端の研究開発をされていらっしゃいます。そのような方から見る北九州市には、どんなチャンスがあるのか、お話を伺ってまいりました。
なぜ北九州市へ?
出身は福岡県の大野城市です。学生時代はロボット知能の研究をしていました。しかし当時のコンピューターの処理速度は大変遅く、苦労ばかりしていたのを覚えています。その頃、工学者による脳の科学研究分野が盛り上がり始めていて、そのメッカである関西の研究所へ行き脳科学の研究をはじめました。ちょうどその頃に母親が進行性の神経難病であるパーキンソン病になってしまいました。最終的には特別養護老人ホームにお世話になるんですが、10年以上、自分で母親の介護をしながら、ICT(情報通信技術)を活用した介護の研究や開発を重ねていくうちに、患者さんや研究者ともつながりも増えていきました。その後、北九州の九州工業大学大学院に教授として着任しました。
先生が関わる分野から見て、北九州市はどんな都市ですか?
政令指定都市の中で高齢化率がNo.1なんですよね。そしていろんな統計を見ると、まさに日本の縮図のようなんです。そのため、市は厚労省よりも一歩先をいくような活動をしている、ということはこちらに来る前から知っていました。また、人口10万人当たりの病床数が政令指定都市の中でトップクラスですし、私の研究室がある北九州学術研究都市(以後、学研都市と略)の周りには、産業医の育成と産業医学の振興のために設立された、日本で唯一の医科大学である産業医科大学や、日本財団や笹川保健財団と連携して、予防から看取りまで、地域社会のニーズに応える取り組みを実践する在宅看護センター北九州もあり、私も共同や連携をしています。医療福祉や介護福祉の研究や開発をやっていく場としては、北九州はとてもいい場所だと思います。
あたらしいことをはじめやすい都市だと思いますか?
私が着任してきたころは、AIやロボットの基礎的な研究に重点を置いていましたが、本学や行政の支援の下、スマートライフケア共創工房(以後工房と略)を設立してからは、介護・医療・福祉に興味がある学生が増えてきました。そして、工房は介護イノベーションのための研究開発や企業支援を行う、国内有数の拠点に育ちました。工房は全国から多数の視察を受け入れている他、地域においても当事者や支援者など多様なプレーヤーとの交流の場も提供しています。
北九州市に来てから爆発的に人脈が広がりました。私にとっては、やりたいことがやりやすい環境です。また、行政のみならず、FAIS[注釈1]や本学もスタートアップ支援にものすごく力を入れています。北九州市は、スタートアップも始めやすい都市であると思いますし、また学研都市は西日本有数の拠点になると期待しています。
いまの若い人たちへのメッセージはありますか?
北九州市は次世代育成環境ランキング[注釈2]で、出産環境や小児医療などが好評価を得て11年連続で政令指定都市1位です。私も子育て真っ最中ですが、美しい海や山河にすぐ行けて本当に幸せに感じています。また行政の後押しも強力なので、ビジネスもはじめやすい都市だと思いますが、実は「学びや学びなおしもしやすい都市」なんです。市内にはたくさんの大学があり、また北九州市立大学を代表として本学も協力する社会人リスキリングのプログラムも走っています。留学生も世界中から来ていて、グローバルな環境で学ぶこともできます。また、工房などで行っている介護・医療・福祉に関するDX教育は国内に類を見ない先進的なものです。学研都市や工房は開かれた場所なので、ぜひ気軽に見学にきてもらえればと思います。
1.FAIS -公益財団法人 北九州産業学術推進機構- https://www.ksrp.or.jp/fais/
2.NPO法人エガリテ大手前による「次世代育成環境ランキング」にて、11年連続で政令指定都市第1位という評価を受けています。
柴田智広 Tomohiro Shibata
AI/ロボティクス/神経科学を研究背景に、母の介護経験から先進技術の介護応用研究や社会実装に長年取り組む。日本ロボット学会フェロー・介護ロボット研究専門委員会委員長、日本神経回路学会特任理事、インドロボット学会代議員。IEEE, IEICE, JSME, 看護理工学会各会員。2014年に九州工業大学大学院生命体工学研究科人間知能システム工学専攻 教授として着任。
https://www.brain.kyutech.ac.jp/~tom/
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