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会社経営(株式会社TOB 代表取締役)植木 美保子さん

会社経営(株式会社TOB 代表取締役) 植木 美保子さん

植木さんは高校進学を機に海外へ飛び出し、そのまま海外の大学・大学院へ。帰国後、東京にある財団に就職し、4年間でさまざまな事業を手がけたのち、起業のため北九州市にUターンされ、現在は事業会社を設立・運営されています。そんなチャレンジ精神あふれる植木さんの目には、どんな北九州市の姿が見えているのでしょうか。

社会課題解決や地域活性の北九州モデルを、全国の地域に展開したい。

ー北九州市で起業することを決めた理由は?

シドニーの大学で卒業後の進路について同級生と話していたとき、途上国からの留学生の「(母国を)きれいな水が飲める国にしたい」という言葉にショックを受けて、自分の国の社会課題を解決するために働くことがかっこいいと思い、そこで日本のために自分ができることをしたくて帰国しました。社会課題解決に取り組むこと、そしてお金の流れなど幅広く学べ経験を積むことができる日本財団に就職しました。 仕事を進める中で、他者とともに働くことと事業創出〜成長までのスキームを学び、4年勤務して自信がついた頃に、「北九州で課題解決ができれば、全国の地域に展開できるのではないか」と思い、生まれ育った北九州市にUターンしました。
北九州市は、事業相談や人脈紹介など創業支援が手厚く、勉強会などのイベント情報も教えていただけるので、創業時にはとても助かりました。そのときのご縁で、知り合った税理士さんと仲良くなったのですが、その税理士さんの紹介でいろんな方にお会いする機会があり、北九州らしい人情味を感じています。

ー現在の事業について教えてください。

株式会社を立ち上げていて、受託事業と自主事業の2本柱で運営しています。受託事業としては、前職で事業開発やイベント企画、広報などに携わっていた経験から、事業コンサルや助成金・補助金の申請サポート業務、日英の翻訳業務を主に行っています。自主事業としては、大小さまざまな社会課題を解決する事業を構想していて、いくつかはすでに実施に向けて取り組んでいます。
ひとつは地域活性化事業で、北九州市にあるスポーツチームの情報発信や地域活動を活性化することで、スポーツで北九州市を盛り上げることを目指す「キタスポ」という事業です。
もうひとつは、コンテナを使ったトイレで災害時のトイレ問題を解消していく事業です。もともとコンテナを使ってできる事業を計画していたところ、今年2024年の元日に能登半島地震が起きてしまって。前職で熊本豪雨災害の被災地支援をしたときに、仮設トイレの衛生面、男性女性が同じトイレを使うことへの抵抗感がありました。休憩時間にコンビニに行くまでトイレを我慢したりしてました。あと、ユニバーサルトイレがなかなかないとか。それで被災地支援で能登に行っている前職の同僚に聞くとやっぱり「衛生面含めトイレ問題は深刻」と言っていて。すぐに「コンテナを仮設トイレにしよう」と思い立って、そこから急いで製品化を進めて、2月下旬には完全受注生産で販売が開始できる予定です。(※取材当時)

ーすごいスピード感ですね。

やはり被災地のトイレ問題が解決できれば、よりボランティアも集まりやすくなって復興も早く進みますし、女性ボランティアが増えれば女性ならではの問題にも手が届きやすくなります。それにこのトイレはコンテナなので移動や保管、維持管理が容易で、平時には公衆トイレとして使えるので、自治体の衛生対策、防犯対策、災害への備えとしても活用していただければ、と思っています。

ー最後にこれから新しいことをはじめようと考えている若者たちに一言。

中学生のときに“まわりの人たちには送れない人生を送ってやろう”と思った出来事があって、それで卒業と同時にオーストラリアの高校に進学しました。早くから海外に飛び出し、大学院までそこで暮らしたことで、「環境は自分で変えられるんだ」と気づいて、「自分にできることは何にでも挑戦しよう」と考えるようになりました。失敗しても「生きていれば人生なんとかなる」ので、いろいろなことに挑戦してほしいと思います。

会社経営(株式会社TOB 代表取締役)

植木 美保子

北九州市出身。高校進学のため渡豪。シドニー大学人文学部卒、シドニー大学院経営学部/CEMS国際経営学部修士課程修了。公益財団法人日本財団でアスリートの社会貢献活動を推進する「HEROs」、渋谷区内17ヶ所の公共トイレを建築家と共に改修し公共トイレに付随する社会課題の解決を推進する「THE TOKYO TOILET」、国内外のアーティストと共にイベントを通してD&Iを推進する「True Colors Festival」などを手がける。退職後、北九州市にUターンして起業。