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映画監督 / アーティスト石原 海(UMMMI.)さん

映画監督 / アーティスト 石原 海(UMMMI.)さん

東京出身の石原さんと北九州市との縁は、東京藝術大学に在学していたときのこと。その後、ロンドンへ留学。新進気鋭の映画監督として海外からも注目を集め、帰国後には東京と北九州の2拠点生活がスタート。「北九州でしか書けない物語がある」と語る石原さんの目に、このまちはどう映っているのか。2021年10月、個展を開催していた銀座「資生堂ギャラリー」にてお話を伺いました。

土地が変われば、意識も変わる。北九州でしかできないクリエイティブを求めて。

ー初めて北九州市を訪れたときの印象を教えてください。

初めて北九州へ行ったのは、東京藝術大学に在学中のとき。北九州の八幡東区に、友人の父親が牧師を務める教会があって、北九州にしばらく滞在していました。その時は、教会に寝泊まりさせてもらっていたので、まちを楽しむというよりは、教会近辺での生活をしていました。
その後、仕事で再び北九州を訪れる機会があり、小倉のまちをぶらぶらとしてみました。まず、驚いたのが外食の金額が安いこと。特に、お寿司がすごくおいしいのに、安いのが衝撃的でした。東京ではお金を出せば、いくらでもおいしいものが食べられると思うけど、北九州は、安くて食材のレベルが高い。食べ物は、北九州を好きになるひとつの大きなきっかけでした。

ー現在は、北九州市と東京の2拠点生活をしているそうですね。

大学を卒業後、2年間ロンドンの大学に留学していたのですが、コロナの影響を受けて休学、帰国しました。その時、頭の中にかつて訪れた北九州の存在があり、思い切って引っ越しを決意。現在の2拠点生活がスタートしました。
東京生まれの私にとって、もうひとつの拠点を持つのは、とても大切なこと。東京で生まれた人は、なかなか東京を出るきっかけがあまりないんじゃないかなと思います。進学も就職も東京で、という人が多いと思います。
私の場合、いろんな縁やタイミングが重なって、北九州の人や文化、風土と出会うことができた。すごい幸運なことだと思います。

ー北九州市では、どのように過ごしているか教えてください。

東京にいる時は、心がずっとオンというか。興味のある展示や上映があれば「見に行かなきゃ!」という気持ちに追われるし、人と会う約束も詰め込んでしまいます。
刺激が多い東京と比べて、北九州ではわりと静かに暮らすことができます。じっくりと自分と向き合って作品のアイディアを出したり脚本を書いたりするのは、北九州がメイン。東京ではもっと気持ちが外に向いてるというか、実際に撮影現場の仕事をして大勢の人と関わったり、色んな場所に遊びに行ったり、人と時間を過ごすことについ時間を取られてしまいます。両方にそれなりの良さがあるのですが、この2拠点の生活は自分にとってすごく最高のバランスになっています。

北九州での好きな過ごし方は、紫川の川辺に座ってビールを飲む時間です。紫川は、すごい大きくて、開けていて、さすが北九州だなあって感じがして大好きです。とにかく川が大好きで、東京に住んでいたときは目黒川の近くや荒川の近くに住んでいたり、ロンドンでもよくテムズ川のほとりで同じように過ごしていました。その中でも一番気に入ってる川は、紫川です。紫川だいすきです!

ー東京、ロンドン、北九州市と住んだ経験がある石原さんですが、住む場所を選ぶときの条件は何ですか?

風通しの良さかなって思います。北九州は、いろんな人が集まっていて、それを迎えてくれる土壌があるなと思います。閉鎖的な感じが全然ないというか。まちへ出かけると、活気があって、いつの間にか友達が増えている。あとは、北九州の家賃の安さもいいなと思います。家賃や生活費が安いから、何かをやりたい!と思ったときに、仕事に必死にならなくていい。そのうえ、都市機能もしっかりとあるので、やりたいことが前進しやすい。本当にやりたいこと、好きなことに没頭できる環境があると思います。

ーこれまでに国内外問わず、様々な映像を撮ってきた石原さんですが、これから北九州で撮りたい映像はありますか?
これまでに国内外問わず、様々な映像を撮ってきた石原さんですが、これから北九州で撮りたい映像はありますか?

このまちには、魅力的なテーマがたくさんあります。北九州の成人式のドキュメンタリーとかおもしろそう。あと、これから3作目となる長編映画を撮りたいと考えています。北九州の家で企画や脚本を進めていきたいと思っています。

映画監督 / アーティスト

石原 海(UMMMI.)

東京都生まれ。東京藝術大学在学中に北九州市八幡東区にある困窮者支援を行う教会を訪れる。大学卒業後にロンドンの大学へ留学。帰国後、東京と北九州市の2拠点生活をスタートさせる。これまでに、北九州市の教会に集う人々のドキュメンタリー映画や数々の長・短編映画を手がける。広告の分野では海外のハイブランドやスポーツブランドの映像を制作。