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アーティスト soh souen さん

アーティスト soh souen さん

生まれ育った北九州で音楽やアートと出会い、京都の美術大学へ進学。帰郷後のアーティスト活動は、広く注目を集め「新鋭芸術家」と呼ばれるsoh souenさん。デジタルやハンドペイントなど様々な表現を用いて「そのときに感心のあるモノ」を体現し続けています。そんなsoh souenさんの作品にまちが与える影響やアイデアを、八幡西区に構えるアトリエで伺いました。

福岡でも東京でもない、北九州というまち。ここには、コアなカルチャーが育つ土壌がある。

ーアトリエのある八幡西区はどんなまちですか?

北九州八幡西区は、私が育った地元です。大学に進学するまでをこの場所で過ごしました。少年時代は、みんなでよく遊びました。兄がいるのですが、世代関係なく仲が良かったですね。
振り返ると、年齢とか性別とか関係なく友達になれる空気があったように感じます。僕は、北九州のことをマイノリティに優しいまちだと思っています。アンダーグランドなクラブ界隈で活動する人たちのことも尊重するような雰囲気があるんです。社会的地位などあまり気にしない、困っていたら助ける、みたいな。ホームレス支援などにも積極的だと耳にしますよね。

ークラブを通じて音楽やアートに出会ったそうですね。

10代のときに、小倉のクラブに遊びにいくようになりました。そこで、現在、世界的に活躍しているasano+ryuhei さんに出会ったんです。彼の音楽活動やライブペインティングに魅了されました。そこで、「美術のほうに進んでみたい!」と思ったのが今、アーティスト活動をしている最初のきっかけです。
北九州は、音楽やファッション、アートなどのカルチャーが育ちやすい土地だと思うんです。隣には福岡市、海を渡れば本州という立ち位置のなかで独自の感性やスタイルが醸成されていくんじゃないでしょうか?天邪鬼と言うと語弊があるかも知れませんが、王道じゃない路線を築いてる感じがします。「北九州のアーティストっぽいね」と言われることがあるんですが、それは僕にとっては嬉しい褒め言葉です。

ーそこから京都の大学へ進学したsoh souenさんですが、地元を離れてみて気付いた北九州の良さは?

京都は洗練されたまち、という印象でしたね。北九州の混沌とした感じとは全然違うと感じました。だけど「こうあるべきだ」みたいな雰囲気があって。例えば、上京して音楽活動をするとしたら、目標としてデビューするとか、売れるとかを達成しないといけないと思うんです。一方、北九州には、何者にもならなくていい、そのままでいい、好きなものを続けていい、という雰囲気があります。そんな「こうあるべき」がないところが、このまちの好きなところですね。

ーまちの雰囲気が作風に与えているものは大きいんですね。

もちろん、根っこの部分で影響を受けている部分はあります。でも、どこにいても活動はできますから。いつも「そのときに関心があるモノ」を表現しています。むしろ、場所については、天井が高いとか、明るいとか、室内の環境のほうが気になります。
この2年間くらいはコロナ禍で、移動が制限されたじゃないですか。そこで、パフォーマンスプロジェクトを開始したんです。このパフォーマンスは、オランダのアムステルダムのアーティストと行います。約9,000km離れた場所で、プロジェクターにライブ動画を重ねてオンラインで絵を描いたりするんです。通信上で、遅延が発生することもありますが、それさえも巻き込んでいく。そういう意味では、住む場所の特徴や隔たりさえもアートにできると感じています。

ー北九州でおすすめのスポットはありますか?

小倉にギャラリーソープという場所があります。ギャラリー兼バーなんですが、普通そういう場所には美術関係者やアートに携わる人が訪れるものです。一方、小倉のギャラリーソープは普通のおばさまも来店されて、「あのアートいいね」や「これはよく分からんね」などと自由に感想を言い合えるお店なんです。そこが北九州らしいと思います。アートをわからないことを排除しないところや認める器がある。いろんなスタンスがあっていいと思うんです。大切なのは、排除しないこと、そばにいること。

ー北九州のカルチャーが育ちやすい土壌や、それを受け入れる人の心など、とってもよく伝わりました。最後に読んでいる人へメッセージをお願いします。

まず一度、北九州のまちへ来て欲しいですね。小倉駅周辺の雑多な感じなどを味わって自分に合うか合わないかを感じてください。好きな人は、とても好きになれるまちだと思います。

アーティスト

soh souen

北九州市八幡西区に生まれ、10代で出会ったライブペインティングに感化され、美術の道へ進む。京都精華大学へ進学。卒業後、帰郷し八幡西区にアトリエを構える。
地元に拠点を置きながら、東京で個展を開催したり、オンラインで世界へ発信したりと広く活動中。自己の成り立ちへの興味をもとに、その時々に興味関心が強いことを描く「忍者スタイル」と自らを称する。